女たちは胸をはずませ
あなたなんかバカみたい
のところが当時の僕にはなんとも不思議な感じで、ちょっと鼻にかかった声もすばらしく、これは絶対ヒット間違いなしと思っていた。
ところが世の中には不思議なことがあるもので、全くヒットせず。結局このドラマ以外でこの曲を聴くことは一度もなかった。未だに歌謡曲の歴史で一番不思議なことは、この曲がヒットしなかったことである。当時は知らなかったが、ジャケットも僕の知る限りでは数ある歌謡曲のジャケットの中でこれがナンバー1だと思う。作詞作曲はあの橋本淳・筒美京平コンビ!人気ドラマの主題歌。ルックスも良し、声も良し。これで売れなきゃどうかしてる。で、売れなかったんだから、これがラストシングルになってしまったのも無理はない。
でも世の中捨てたもんじゃない。この曲を評価する人が他にもいたようで、なんと「田代麻紀・朋ひろこコンプリートコレクション」なるCDがつい最近発売された。B級ブームもここまで来たかという感じだが・・・僕もさっそく購入したわけだが、凄まじい内容である。朋ひろこというのはこの人が田代麻紀になる前の演歌歌手時代の名前なのだが、その歌いっぷりが凄い。森進一というよりは矢吹健の女版という感じのシャウトボイスの絶叫演歌である。「お熱い娘たち」とのこのギャップは何?
こうやって朋ひろこ・田代麻紀両者を聴き比べると、この人の不遇の歌手人生の理由がなんとなくわかってくる。朋ひろこは特異な声の持ち主である。が、その声は必ずしも万人に愛される声ではない。そのためヒットはだせなかった。そこで路線転換。平山三紀との競作で歌い方も平山三紀風の「潮風の季節」で田代麻紀として再デビュー。そして今度はさらにアイドル寄りの「お熱い娘たち」。歌い方もさらに鼻にかかった声に・・・でもちょっぴり演歌色が残っていて、それが万人に受け入れられなかった原因か?つまり迷い続けているうちに終わってしまったという事なのだろう。それはジャケットの顔が毎回別人のように変わっていることからもわかる。特異な声を持って生まれてしまったために、逆にその声につぶされてしまった歌手なのかもしれない。