2012年7月30日月曜日

ヒューマン・ルネッサンス ザ・タイガース

最近、最もよく聴いているアルバムはタイガースの「ヒューマン・ルネッサンス」だ。個人的には、これが日本のPOPミュージックの歴史の中で最高傑作なのではないかと思っている。
日本のサージェントペパーズと言われるこのアルバムが発表されたのは、1968年のこと。当時のトップアイドルだった彼らにこのような売上を無視したアルバムを制作することが許されたということがまず奇跡なのだが、そこには様々ないきさつがあったらしい。
それはともかく、ポンペイの噴火を元にしたと言われる人類の滅亡と再生という壮大なテーマを持ったコンセプト・アルバムである。
最近、Prity Things というバンドの”S.F.Sorrow”というアルバムのライナーに「世界初のロック・オペラ」と書いてあるのを見たのだが、実はその数ヶ月前に出された「ヒューマン・ルネッサンス」が世界初なのではないだろうか?
このアルバムがなぜ過小評価されているかというと、それははっきりしていて、彼ら自身の作曲による曲が2曲しかはいっていないからである。が、それはザ・タイガースというアーティストの評価であって、アルバムの評価は別なのではないかと思う。すぎやまこういちや村井邦彦の手によって作られた作品であるにせよ、結果として素晴らしい作品が出来上がったことに変わりはない。
このアルバムの音楽性をひと言で言うと、クラシカルPOPということになると思う。弦楽器による重厚なアレンジ、沢田研二を中央に、左に加橋かつみの高音、右に一徳さん(笑)の重低音を配したコーラスなど、ミックスも含めて当時の世界最高水準に迫るクオリティーである。

中でも最高傑作といえるのが「忘れかけた子守唄」。おそらく日本においてシングルでないアルバムの中の一曲が人気をよんだのは、この曲が最初だと思う。後に70年代にはいってラジオで行われたGS人気投票でも、数あるヒット曲に混じってこの曲はランクインしていた。この曲は兵士とその母親を描いたある種反戦歌なのだが、どこかほのぼのとした無国籍なメルヘンっぽい世界で、宮沢賢治的な雰囲気さえある不思議な曲である。何より沢田研二、加橋かつみが交互に歌うという再結成時を別にすれば、ありそうでなかなかない貴重な曲である。